医者は、一般的に給料(年収)が高い職業だと言われています。しかし、実際に医者として働く人々の中には、「それほどでもない」「稼げない」と感じている人も少なくありません。
そこで、この記事では本当に医者の給料が高いのか、生涯年収の平均を見ていきます。同時に、医者が「稼げない」と感じる理由についても触れていきます。
はじめに、診療科別に医者の年収と、生涯年収の平均を表にまとめました。
生涯年収に関しては、最短で研修を終えた26歳の年齢から、多くの病院で定年に設定されている65歳までの40年で算出しています。
なお、以下の金額はあくまで平均であり、実際の年収は勤務先や勤続年数などで変わります。
診療科 | 平均年収 | 平均生涯年収 |
内科 | 1,247万4,000円 | 4億9,896万円 |
外科 | 1,374万2,000円 | 5億4,968万円 |
整形外科 | 1,289万9,000円 | 5億1,596万円 |
脳神経外科 | 1,480万3,000円 | 5億9,212万円 |
小児科 | 1,220万5,000円 | 4億8,820万円 |
産科・婦人科 | 1,466万3,000円 | 5億8,652万円 |
呼吸器科・消化器科・循環器科 | 1,267万2,000円 | 5億688万円 |
精神科 | 1,230万2,000円 | 4億9,208万円 |
眼科・耳鼻咽喉科・泌尿器科・皮膚科 | 1,078万7,000円 | 4億3,148万円 |
救急科 | 1,215万3,000円 | 4億8,612万円 |
麻酔科 | 1,335万2,000円 | 5億3,408万円 |
放射線科 | 1,103万3,000円 | 4億4,132万円 |
その他 | 1,171万5,000円 | 4億6,860万円 |
参考:勤務医の就労実態と意識に関する調査(独立行政法人 労働政策研究・研修機構
最も年収が低い診療科は眼科・耳鼻咽喉科・泌尿器科・皮膚科で、年収4億3,148万円、最も年収が高い診療科は脳神経外科で、年収5億9,212万円となりました。
一年あたりの年収の差は400万円ほどですが、生涯年収では1億6,000万円と、診療科ごとに大きく差がつくことが分かります。
生涯年収は開業医と勤務医でも差があり、診療科に関係なく開業医のほうが、勤務医よりも平均が高くなっています。
具体的には、開業医と勤務医の生涯年収の差は1〜2億円以上、場合によっては2倍以上になることもあります。
このため、より稼ぎたいと考えている医師には開業の道が勧められることが多いです。
ただし、クリニックを開業しても経営が軌道に乗るまでには時間がかかりますし、赤字のリスクもあります。開業が向いていないと感じたら、別の方法で生涯年収UPを目指しましょう。
生涯年収を上げる方法は後ほどご紹介します。
>>開業医と勤務医の年収の差は?開業のメリット・デメリットとあわせて解説
「【診療科別】医者の生涯年収の平均」をご覧いただくと分かるように、医者の生涯年収の平均はどの診療科でも4〜5億になっています。
この数字は他の職業と比べて高いのでしょうか?低いのでしょうか?
結論から言うと医者の生涯年収は他の職業よりも高く、職業別ランキングで1〜2位の上位に位置しています。
なお、医者と同程度、あるいはそれ以上の生涯年収を稼ぐ職業にはパイロットや大学教授・准教授、記者などがあります。
>>【徹底解説】医師(医者)の平均年収の現実!高すぎる?年齢別、科目別、勤務/開業医の年収や年収アップの方法など
では、なぜ医者の生涯年収は他の職業に比べて高いのでしょうか?
理由は大きく3つあります。詳しく見ていきましょう。
医者は私たちの人生にとりわけ欠かせない職業の1つです。怪我や病気を治療する時はもちろん、健康診断を受ける時、病気の検査をする時なども含めれば、ほとんどの人が、一生のうちに何度もお世話になります。
さらに、近年の日本は高齢化が進んでいます。年齢を重ねるほど病院のお世話になる機会は多いことから、医療の需要が高い状況です。そして今後も高齢者は増え続け、医療の需要もいっそう高まるとされています。
このような現代日本の状況が、医者の生涯年収が高い理由の1つです。
医者は少しのミスをしたり、判断を誤ったりすることで人(患者さん)の命を奪ってしまう可能性があります。人の命を預かる、とても責任の大きな仕事です。
責任が大きいということは精神的な負担も大きいということ。それでも前述の通り、人にとって欠かせない医者という仕事を選択し、従事してくれています。
責任の大きさ、精神的な負担の大きさへの見返りが、年収に反映されているのです。
医者の仕事は非常に激務です。勤務時間こそ決まっていますが、急患が入ったり、入院中の患者さんの容体が急変したりすれば、勤務時間を超えて対応します。
また、日中の勤務ばかりではなく、夜間に病院で待機し、診療を担当することもあります。
こうした業務面の負担が考慮され、年収が高く設定されているのです。
年収が高い一方で、医者の中には「稼げない」と感じている人も少なくありません。
ここでは、年収が高いはずの医者が、稼げないと感じる理由をまとめました。
税金の一種である所得税は、所得が高額になるほど支払う金額も増えます。つまり、所得の高い医者は税金の負担も大きいため、手取りで見ると思ったより少ないと感じてしまうのです。
参考までに、年収2,000万円の医者だと所得税として支払う税金が、年間で約500万円以上にもなります。
住民税の支払いまで含めれば、支払う税金の負担はさらに大きなものに。このため、節税対策をしていないと「稼げない」と感じてしまいます。
医者が稼げないと感じる理由には、業務負担も関係しています。
一般的には高給と言われる医者ですが、実際には仕事の負担に比して、給料が安いと感じている医者が多くいるのが実情です。
前述の通り、医者は責任が伴う仕事、かつ激務であり、心身ともに大きな負担がかかります。その点を踏まえると、税金で引かれることも考え、今の医者の給料には不満を感じやすいようです。
医者の中でも、自分のクリニックを持つ開業医は、勤務医にある「退職金」がなく、積み立てなどを行い自分で用意しなければなりません。
定年退職の時期が近づき、まとまった金額が入らないことから「稼げない」と感じる開業医が多いです。
こちらの開業医の話になりますが、開業医は個人事業主に該当するため厚生年金による保障を受けられません。自分で国民年金に加入しなければなりません。
国民年金は、厚生年金に比べて受け取れる金額が少なくなっています。将来を考えた時、退職金分と同様に自分で積み立てなどを行わないとならないため、開業医は勤務医よりも稼ぎにくいと感じやすいです。
では、医者が今よりも生涯年収を上げたいと考えた時、どのような方法があるでしょうか?
戦略的なキャリア選択や専門性の向上、収入の多様化などが重要です。以下に、具体的な方法をいくつか紹介します。
専門医資格を取得することで、医師としての市場価値が高まり、年収を上げることが可能です。
特に、整形外科、心臓外科、皮膚科、美容外科などは高収入が期待できます。これらの分野は、診療報酬が高いことや、手術や施術の需要が多いため、高い収入を得やすい傾向があります。
また、専門医の取得により、医療機関の管理職やリーダーシップの役割に就くチャンスが広がります。診療科の責任者や病院の運営に関わるポジションに就くことで、キャリアをさらに発展させることができ、年収アップに繋がります。
常勤医として働きつつ、非常勤やスポット勤務を掛け持ちすることで、収入の多様化が可能です。
特に当直や夜間勤務など、報酬が高い仕事を選ぶことで、年収を効率的に増やすことができます。業務の負担が苦にならないのであればおすすめです。
>>医師(医者)が非常勤でバイトするのはなぜ?複数の勤務先で働く理由とメリット・デメリット
前述の通り開業医は勤務医よりも生涯年収が高く、その差は2倍以上になることも。多くの医師がいずれ独立を目指すのは、この生涯年収の高さも関係しています。
ただし、退職金がないことや、厚生年金による保障がないことを含め、開業医ならではのリスクや苦労、悩みがあることも覚えておきましょう。また、向き不向きもあります。
開業医が向いていないと感じる方、できるだけリスクを抑えたい方は、転職によって生涯年収UPを目指す方法がおすすめです。民間の病院や医師不足の地域では、医者の年収が高い傾向にあります。
開業医が向いていないと感じる方、できるだけリスクを抑えたい方は、転職によって生涯年収UPを目指す方法がおすすめです。民間の病院や医師不足の地域では、医者の年収が高い傾向にあります。
また、美容外科や自由診療など、一般の保険診療に比べて高収入を得られる分野への転職を考える医師も多くいます。自分のスキルや専門性を活かして、高い報酬を提供する医療機関やクリニックへの転職が、収入アップの一つの手段です。
医師転職・求人サイトのメディカルキャリアナビでは、常勤医師はもちろん、非常勤医師の求人募集も掲載しています。現場を熟知している医療コンサルティング会社が提供しているサイトなので、ミスマッチがなく、細やかな支援が可能。転職・副業を成功に導きます。
併せてキャリア相談もお気軽にご利用ください。
>>美容外科医の平均年収はなぜ高い?他科と収入の比較や業界トレンド、美容外科への転科方法も解説
>>美容クリニックで働くための資格とは?美容外科と美容皮膚科の違いや仕事内容、学会についても解説
この記事では医者の生涯年収の平均や、医者が「稼げない」と感じる理由を解説しました。
医者の生涯年収の平均は他の職業に比べて高く、職業別ランキングでも1〜2位の上位に入っています。需要も高いので仕事がなくなる心配もありませんが、激務であり、大きな責任が伴うのも事実です。
また、税金の負担が大きいことも相まって、業務負担と給料のバランスが悪い場合は「稼げない」と感じてしまうことも。
今の仕事と給料に満足していないのであれば、開業や転職、非常勤・アルバイトによる副業などの方法で生涯年収UPを望めます。自分に合った方法を選択しましょう。
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