医者の中でも自分のクリニックを持つ開業医は収入が多いとよく言われます。勤務医から開業医を目指している方の中には、「開業医の年収が気になる」「勤務医との年収差は?」などの疑問を持っている方も多いのではないでしょうか?
そこで、この記事では開業医の年収について解説。平均年収や勤務医との年収差をまとめました。開業医ならではのメリットやデメリットも解説しているので、将来開業しようかと悩んでいる医者の方はぜひご覧ください。
令和元年に実施された第22回医療経済実態調査 (医療機関等調査) 報告によると、開業医の平均年収は約2,763万円とされています。
一方で勤務医の平均年収は、同調査報告によると約1,491万円です。
こうして数字で見ると、開業医と勤務医の平均年収には約1,300万円もの開きがあ、開業医のほうが遥かに年収が多いことが分かります。
確かに開業医の平均年収は勤務医に比べて高めです。しかし、実際の年収は開業年齢、診療科目、地域などさまざまな要因によって変わるため、場合によっては平均年収より低くなることもあります。
ここでは、開業医の年収について開業年齢による違い、診療科目による違い、地域による違いを見ていきます。
一般的に、開業医の生涯年収は開業年齢が早いほど多い傾向にあります。これは、前述の通り勤務医よりも開業医のほうが平均年収が多いことから、長期間にわたって開業医としての収入を得ることで、生涯年収も増えるためです。
では、どれくらいの差が生まれるのかというと、35歳で開業した際の平均生涯年収と、55歳で開業した際の平均生涯年収を、74歳まで働き続けると考えて比較してみましょう。
開業前の年収総額 約1,500万円×10年=約1億5,000万円
開業後の年収総額 約2,800万円×40年=約11億2,000万円
合計 約1億5,000万円+約11億2,000万円=約12億7,000万円
開業前の年収総額 約1,500万円×30年=約4億5,000万円
開業後の年収総額 約2,800万円×20年=約5億6,000万円
合計 約4億5,000万円+約5億6,000万円=約10億1,000万円
以上のように、26歳で医者として働き始め、開業後は74歳まで働き続けると仮定した場合、35歳と55歳では約2億6,000万円の差が生まれます。
勤務医でも充分に稼ぐことは可能ですが、大幅な年収アップを目指せるのは開業医と言えるでしょう。
令和元年に実施された第22回医療経済実態調査 (医療機関等調査) 報告によると、診療科目ごとの平均年収は以下の通りです。
診療科目 | 平均年収 |
内科 | 約2,424万円 |
皮膚科 | 約2,709万円 |
整形外科 | 約2,988万円 |
小児科 | 約3,068万円 |
産婦人科 | 約1,834万円 |
眼科 | 約1,512万円 |
耳鼻咽喉科 | 約1,890万円 |
精神科 | 約2,587万円 |
外科 | 約1,977万円 |
もっとも平均年収が多い小児科は、もっとも平均年収が少ない眼科のおよそ2倍。大きな開きがあることが分かります。
一般的に、首都圏と地方では地方のほうが平均年収が多く、その差は約1,000万円と言われています。
地方のほうが平均年収が多いのは、クリニックや病院の数が少ないためです。地域によっては医者不足が問題視されていることもあり、そのような地域では患者さんを集めやすく年収が上がります。
一方で首都圏はクリニックや病院の数が多いことから、患者さんを集めることが難しく、年収が上がりにくいというわけです。
ここからは、開業医のメリット・デメリットを紹介していきます。
まずは開業医ならではのメリットをまとめました。将来、開業しようか迷っている方は参考にしてください。
開業医のメリットといえばやはり収入面。「開業医と勤務医の平均年収比較」で見たように、クリニックの経営が軌道に乗れば、開業医は勤務医よりも遥かに高収入を狙えます。このため、開業を目指して勉強している医者は多いです。
少しでも多くの収入を得たい方に開業医は向いていますが、経営に失敗するリスクもあることには注意が必要です。詳しくは「開業医のデメリット」でお話しします。
医者が転職を考える理由の1つに、「人間関係によるトラブル」があります。そうしたトラブルを未然に防ぎやすいのも開業医のメリットです。
自分で経営するクリニックであれば、雇用する人材も自分で決められます。仕事への姿勢や考え方が合う人材を採用すれば、勤務医時代のように人間関係で悩むことは少なくなるでしょう。
勤務医として働く場合、治療の方針は勤務先のルールにもとづいて決めなければなりません。時には自分の考えとは異なる治療方針に悩むこともあるでしょう。
開業医として自分のクリニックを持てば、治療方針は自分の理想にもとづいて決定することができます。
治療方針と同様、診療日や診療時間などの働き方が、勤務先のルールに縛られないのもメリットと言えます。他にもさまざまなルールを、自分の考えで決めることができるので、働くうえでのストレス軽減につながるでしょう。
収入面や働き方の面でさまざまなメリットがある開業医ですが、もちろんデメリットもあります。開業するかどうかを決める時は、デメリットもふまえて考えましょう。
開業医になれば、患者さんの診察や治療に加えて、クリニックの経営も行わなければなりません。スタッフのマネジメントなども行う必要があり、勤務医時代に比べて業務量が増えるケースがほとんどです。ライフワークバランスを重視する方には、あまり向かないと言えるでしょう。
経営やスタッフのマネジメントといった業務が増えるため、患者さんの診察や治療に専念しにくくなるのも人によってはデメリットになります。患者さんに寄り添った治療を行いたいという思いを持った方だと、治療に専念できないことを歯痒く感じるかもしれません。
開業するうえで絶対に避けたいのが経営の失敗です。クリニックの開業には決して少なくない資金を費やす必要があるため、経営が失敗することで、収入アップどころか借金を背負うことになりかねません。
しかし、せっかく開業したクリニックの経営が上手くいかないという悩みは実際にあります。そうしたリスクがあることを、きちんと理解しておきましょう。
自分のクリニックを持つということは、経営者としての責任が伴うということ。医療ミスなどが発生した場合などには、経営者として誠実に対応しなければなりません。
医療ミスのような大きな事故に限らず、時には患者さんから厳しい評価をもらう時もあるでしょう。そのような場合も、なぜ厳しい評価がなされるのか、何を改善すべきかなどを、経営者として考えなければなりません。
プレッシャーは勤務医時代より遥かに大きくなると考えましょう。
以上で紹介したように、確かに開業医は勤務医よりも稼ぐことができますが、同時に業務量が増える、経営者としての責任が伴うなどのデメリットもあります。
開業するかどうかを決める時は、年収年収だけにとらわれず、自分に合った働き方であるかを考えたうえで、将来を選ぶことが大切です。
給料や年収に不満がある場合の解決策としては、開業以外にも転職があります。この記事を読んで開業医が向いていないと感じた方は、転職による収入アップを目指してはいかがでしょうか?
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>>美容クリニックで働くための資格とは?美容外科と美容皮膚科の違いや仕事内容、学会についても解説
>>美容外科医の平均年収はなぜ高い?他科と収入の比較や業界トレンド、美容外科への転科方法も解説
この記事では開業医の年収について、平均年収や勤務医との年収差、開業医ならではのメリットやデメリットなどを解説しました。
収入面が魅力の開業医ですが、業務量が多く経営者としての責任が求められることから、メリットばかりとは言えません。ライフワークバランスを重視する方や、プレッシャーに弱い方などは向いていない可能性があります。
給料や年収に不満があり、収入アップを目指したい時の選択肢は他にもあります。転職はそんな選択肢の1つ。自分に合った方法で収入アップを目指しましょう。
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