今よりいい条件の病院に転職したい医師にとって、履歴書の作成は重要になってきます。しかし、日々の業務に追われてなかなか作成の時間を作れなかったり、そもそも書き方を調べるところからスタートしなければならなかったりと、時間や手間をかける必要が出てきてしまいます。
そこで今回は、多忙な医師がスムーズに履歴書を作成できるよう、書き方の基本から提出までをわかりやすく紹介します。
転職のために履歴書を作成する際、応募先からの指定フォーマットや作成方法がない場合、どのようなテンプレートを使って履歴書を作成してもかまいません。
こだわりがないのであれば、厚生労働省やJIS規格のテンプレートを使用するのがおすすめです。
厚生労働省が作成したテンプレートとJIS規格のテンプレートは、おおむね同じ内容ですが、以下の点が異なります。
厚生労働省 | JIS規格 | |
性別記載欄 | 任意記載 (性自認の多様性を反映) | 男女から選択 |
プライバシー要素の ある項目 | なし | ・通勤時間 ・扶養家族数(配偶者を除く) ・配偶者 ・配偶者の扶養義務 の4項目が記載あり |
コンビニなどではJIS規格のものが多く見られます。どちらを選んでも問題ないので、自身の書きたい内容に沿った方を選ぶといいですよ。
また、書き損じた際の修正が大変なことを考えると、パソコンを使って作成するのがよいでしょう。日々の業務が忙しい医師にとっては効率的な方法です。
>>厚生労働省履歴書様式 ダウンロードはこちらから
「マイジョブカード」は、厚生労働省が提供する転職・求職者用のツールになります。個人がキャリアプランを明確にし、スキルアップや転職活動を効率的に行うためのツールです。このカードは、個人の職業能力の見える化をサポートし、職業訓練や就職活動の際に活用できます。
このサイトでも履歴書・職務経歴書のフォーマットがダウンロードできます。さらに、様々なパターンの記入例も確認できるため、書き方に悩む方は是非ご覧ください。
>>厚生労働省「マイジョブ・カード」ジョブ・カード様式のダウンロード
また、こちらのサイトでは、フォームに沿って自身の職務経歴を入力するだけでまとめてくれる「職務経歴シート」や、免許や資格、学歴をまとめてくれる「職業能力証明シート」、今後のキャリアを考えるための「キャリア・プランシート」など、便利な機能がたくさん備わっています。
転職する前に一度「マイジョブ・カード」を利用してみるのもおすすめです。
>>厚生労働省「マイジョブ・カード」求職者の方へ
履歴書を作成する前に準備しておきたいことは、
の2点です。それぞれについてチェックしていきましょう。
せっかく作成した履歴書が、応募先の病院の指定や提出方法と異なっていては時間を無駄にしてしまいます。
履歴書を作成し始める前に、郵送・メール・持参のどの形式を確認しておきましょう。メールでの提出の場合は、履歴書のデータをpdfに変換して送る必要があります。
医師としてのこれまでの職歴や経歴が多い場合は、事前に別の用紙やパソコンなどにメモして、下書きとしてまとめておきましょう。
志望動機や自己PR、趣味などの文章も同様に下書きを用意しておくのがおすすめ。文章にするのが難しい場合は、思いつくまま書き出した文章をまとめながら文字数を調整するといいですよ。
履歴書を作成する際は、抜け漏れがないよう以下の9つのポイントをチェックしながら書き進めていきましょう。
写真は、応募者の第一印象となる重要なポイントです。特に医師は誠実さや清潔感が求められる職業でもあるため、しっかりと身だしなみを整えて撮影したものを使用しましょう。服装は、スーツやジャケットなどのフォーマルなものが好ましいです。
また、3か月以内に撮影したものを貼り付けましょう。
日付は、履歴書を書いた日ではなく、応募先に提出する日付を書きます。郵送なら郵送する日を、持参するのであれば訪問日を記載しましょう。
住所は省略せず、都道府県から建物名や部屋番号まで正確に記載しましょう。
連絡先は、固定電話がない場合は携帯電話でも問題ありません。固定電話がある場合でも、日中連絡が取りやすい方を記載するようにしましょう。メールアドレスも、GmailやYahoo!メールなどのフリーアドレスで問題ありません。
1行目の中央に、「学歴」と書き、その次の行から書き始めます。記載する学歴は高等学校卒業から。
学校名は省略せずに、私立・公立の区分からしっかりと書きましょう。学校名が変わっている場合は、卒業時点の旧名の後に「(現・××大学医学部医学科)」などと記載するといいですよ。
また、年号を書く際も「H2」ではなく「平成2年」と正式に記載しましょう。
学歴の一番最後の行から1行空け、その下の中央に「職歴」と書きます。
職歴では、所属部署・雇用形態・部署異動・昇格などについても詳細に記載します。医師としての経験を応募先に知ってもらうため、「医局人事による異動」などとできるだけ細かく書くといいですよ。また、研究のための海外留学期間がある場合はそちらも記載しましょう。
退職日が決まっている場合は、退職予定と記載します。
また、学歴と同じく、勤務した病院の名前が変わっている場合は、旧名の後に新名称を捕捉しましょう。
すべての職歴を書き終えたら、右寄せで「以上」と記載します。
運転免許を取得している場合、まず運転免許を一番上に書きます。いくつかの運転免許を持っている場合は、取得した順に書きましょう。
その後に他の免許や資格を記入しますが、もちろん医師国家資格についても記載します。その際、医師番号を併せて記載するのを忘れないようにしましょう。
また、認定医、専門医、指導医などの取得も記載しておきましょう。これらの資格は、雇用の条件や役職にも大きく関わるためです。
志望動機や自己PRでは、なぜこの病院を選んだのかを簡潔にまとめて書きます。文章の語尾は「です・ます調」で統一しましょう。
これまでに経験したことや得た知識を活かして力を発揮できるということを、具体的なエピソードを交えて伝えるのが効果的です。
子育てや介護など、家庭の事情で勤務条件に希望がある場合のみ、理由も添えて条件を記載しましょう。特にない場合は「貴院の規定に準じます。」と記載するだけでOKです。
履歴書の種類によっては、ここまでで説明した項目の他に
の項目があるケースも。これらの項目については以下を参考にしてください。
通勤時間は5分単位で記載します。また、交通手段が何か(電車・自家用車・自転車・徒歩)も記しましょう。
電車の場合は、「JR山手線〇〇」「東急田園都市線▲▲」などと路線名も忘れず書きましょう。
記入は必須ではありませんが、面接時のコミュニケーションに役立つことがあるため、小さなことでも記入しておくのがおすすめです。個性や人柄が伝わるきっかけにもなります。
受賞歴や表彰歴がある場合は、全国レベルまたは国際レベルの大会、国や都道府県からの表彰を記載しましょう。
犯罪歴がある場合は、名称を略さず記入します。
どちらもない場合は「なし」と記入するだけでOKです。
医師の職務経歴書を書く際には、あなたの専門性や経験を的確に伝えることが重要です。シンプルかつ具体的な内容を心掛けて作成しましょう。
以下に、職務経歴書の書き方と注意すべきポイントをまとめました。
自己紹介として、自分の強みや専門分野、職務に対する姿勢を簡潔にまとめます。
消化器内科を専門に10年以上の臨床経験を持ち、特に内視鏡診療に強みがあります。患者第一の医療を心掛け、チーム医療の中でリーダーシップを発揮してきました。
所属した病院やクリニックの名称、勤務期間、担当科目、役職を明記し、それぞれの病院での役割や具体的な業務内容を詳細に記述します。実績を具体的な数字やプロジェクト名で表現し、貢献度を明確に示すことがポイントです。
〇〇病院(2015年4月〜2021年3月)
消化器内科医として年間300件以上の内視鏡検査・治療を担当し、〇〇病に対する治療ガイドラインの作成に貢献しました。
専門的な手技や診療の経験を具体的に記載します。特定の治療法や機器に対する知識や経験を記載。最新の技術や知識に関する習熟度も強調しましょう。
内視鏡検査(年間〇〇件)、胃カメラ、大腸カメラにおける診断・治療
人工呼吸器管理、腹腔鏡手術経験
所属する専門学会や、発表した論文があれば、これも職務経歴書に含めます。特に著名な学会発表や論文がある場合は、タイトルや発表年も記載しましょう。
日本消化器内視鏡学会所属、〇〇年度学会で〇〇について発表
研修医や医学生への指導経験がある場合は、その内容を記載します。教育・指導能力をアピールすることで、管理職や教育担当ポジションにもアピールできます。
医師免許、専門医資格、その他関連する資格(例えば、麻酔科標榜医やACLS資格など)を明確に列挙します。
転科や未経験の領域に移る際には、通常の転職以上に自分の強みや意欲をアピールすることが重要です。転科や新しい分野にチャレンジする場合、採用側は「なぜその分野に移りたいのか」「その分野で成功するための適性があるか」という点を重視します。
以下のポイントを参考に、職務経歴書に含めるべき内容や心がけを整理してみましょう。
転科の動機は非常に重要です。なぜその新しい分野に興味を持ったのか、なぜその分野で活躍できると思うのかを明確に記載します。
患者とのコミュニケーションを大切にする治療がしたいと思い、〇〇科へ転科を希望しました。現職では外科医としての手技を磨きましたが、より継続的な患者ケアに携わりたいと感じています。
完全な未経験であっても、これまでのキャリアの中で培った汎用的なスキルや経験を強調しましょう。医師としての基本的なスキル(チームでの協働、リーダーシップ、患者対応能力)は多くの科で活かせます。
現在の勤務では、外科手術の他、緊急対応や医師チームのリーダーシップを発揮してきました。この経験を活かし、〇〇科での患者対応や治療プロセスに迅速に適応できると考えています。
新しい分野に対する学習意欲や、すでに行動に移している学習内容を記載することも大切です。例えば、転科先の分野に関連するセミナーや講習会への参加、勉強中の文献などを具体的に記述しましょう。
〇〇科への転科に向け、すでに〇〇学会に参加し、最新の治療技術やガイドラインを学び始めています。また、〇〇セミナーにも定期的に出席し、関連スキルの習得を進めています。
長期的なビジョンを職務経歴書で伝えることも有効です。単に興味があるというだけでなく、将来的にその分野でどのようにキャリアを築いていきたいかを具体的に示すことで、意欲や覚悟が伝わります。
〇〇科において、特に〇〇領域での専門性を深め、将来的にはチームリーダーとして新人医師の指導にも携わりたいと考えています。
履歴書・職務経歴書を書き終えた後は、以下の項目をチェックしましょう。
□ 空欄がないか
□ 誤字脱字がないか添削
□ 写真の貼付は忘れていないか
□ 学校名、勤務先名、資格名などが正式名称で記入されているか
□ 各項目の西暦に間違いがないか
□ 文章の語尾は「です・ます調」で統一されているか
□ 資格の有効期限や職務経験が最新の情報になっているか
提出書類は基本的に、間違いが一つもない状態で提出するのが原則です。書き直す時間がある場合は、間違えた部分の修正だけでなく一から作り直しましょう。
どうしても時間がない場合や新しく作り直せない場合は、訂正したい箇所に二重線を引き、訂正印を押してから、その上に正しい文字を書きましょう。
最後に、履歴書を提出する、もしくは送付するときのマナーについて知っておきましょう。
履歴書を封筒に入れる際は、折り目がつかないようにしなければなりません。A3、B4の用紙を二つ折りにした状態まではOKですが、二つ折りもしくは三つ折りはマナー違反となってしまいます。
二つ折りの状態で入る大きな封筒(角A4・角2など)を準備しましょう。面接で持参する際は、折り目がついてしまわないようクリアファイルに挟んでおくとなおよいですよ。
封筒に宛名を書く際は、以下のポイントを押さえておきましょう。
また、履歴書や職務経歴書を応募先の病院などへ郵送する際には、送付状の準備が必要となります。送付状とは、院長などの採用担当者への挨拶文のこと。履歴書だけを送りつけるのは失礼と捉えられてしまうので、必ず同封しましょう。
送付状は、フォーマット通りに書けば難しいものではありません。「履歴書 送付状 書き方」などでWeb検索してみるといいですよ。
以上、医師が転職する際の履歴書の書き方についてでした。一つひとつの項目が難しいわけではありませんが、経歴の整理や志望動機を考える必要があるなど、時間や手間がかかってしまう作業ではあります。
できるだけスムーズに履歴書を作成するためにも、ぜひ本記事を参考にしてみてくださいね。
履歴書の作成に不安や悩みがある方は、転職エージェントに相談して添削してもらうのもおすすめ。
メディカルキャリアナビでは、転職をお考えの先生方の相談を随時受け付けております。経歴書代行も行っておりますので、履歴書の書き方をはじめ、キャリアについての相談がございましたら下記よりお申し込みください。
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