医師免許取得後、2年間の初期臨床研修を修了した医師は新専門医制度に基づき、専門医の資格取得を目指す「専攻医」となります。専攻医は3年以上の専門研修プログラムに参加し、一定の要件を満たすことで専門医の資格を取得できます。
本記事では、専攻医と専門医の違いや年収について解説しているので、これから専攻医を目指す方はぜひ参考にしてください。
専攻医と似たような言葉で「専門医」があります。ここではそれぞれの違いを解説します。
専攻医とは、医師免許取得後に臨床研修を修了した医師が、専門医の資格取得を目指して参加する研修プログラムの受講者を指します。元々「後期研修医」と呼ばれていましたが、2018年に新専門医制度が導入されて以降は「専攻医」と呼ばれるようになりました。
専攻医は3年以上の専門研修プログラムに従事し、以下のような一定の要件を満たすことで専門医の資格を取得できます。
なお、専攻医になるまでの流れは下記で紹介しているので、後ほどご覧ください。
専門医は、医師免許取得後に一定の研修を経て、特定の診療分野における高度な知識と技術を有することが認定された医師です。
専門医は、科学的根拠に基づいた最良の医療を提供できる医師として評価されており、日本の医師の90%以上が専門医または元専門医です。
2018年に導入された新専門医制度ですが、どのような変化やメリットがあるのかを詳しく解説します。
画像引用:医道審議会 医師分科会 医師専門研修部会
新専門医制度は、2018年4月から第三者機関である「一般社団法人日本専門医機構」によって導入された新しい制度です。この制度の目的は、医療の質の向上と医師の専門性の確保です。
従来の専門医制度では、各学会が独自の基準で専門医を認定していましたが、新制度では日本専門医機構が統一的な基準を設けています。これにより専攻医と呼ばれる研修医が、一定の研修プログラムを修了し、試験に合格することで専門医の資格を得られるようになりました。
また、新制度では専門医の更新制が導入されています。専門医は5年ごとに更新する必要があり、最新の医療知識と技術を維持・向上させることが義務付けられています。これにより、日本の医療水準の一層の向上が期待できるのです。新専門医制度は、医師のキャリア形成と地域医療への定着にも一定の効果を上げつつあります。
新専門医制度が導入された背景には、いくつかの重要な要因があります。まず、従来の専門医制度では各学会が独自の基準で専門医を認定していたため、専門医の質や地域偏在の問題が指摘されていました。医療の質の向上と地域医療の確保が喫緊の課題となっていたのです。
さらに、医療現場では医師の偏在や高齢化、医療需要の増加など、様々な課題に直面していました。新専門医制度はこれらの課題に対応し、医療の質を一定水準に保ち、医師のキャリア形成を支援することを目的として導入されたことが背景にあります。
医療の高度化や専門分化が進む中で、医師の専門性を明確化し、国民に良質な医療を平等に提供できる仕組みが求められています。新制度は、この要請に応えるべく設計されたものといえます。
専攻医の研修期間はおよそ3〜5年で、各領域によって異なります。専攻医は1つの研修プログラムにのみ応募できます。そのため、研修先の選択にあたっては自身のキャリアプランや労働環境、指導医の有無などを確認することが重要です。
専門研修プログラムは基本領域とサブスペシャルティ領域に大別されます。日本専門医機構認定サブスペシャルティ領域一覧は以下のとおりです。
基本領域 |
内科 小児科 皮膚科 精神科 外科 整形外科 産婦人科 眼科 耳鼻咽喉科 泌尿器科 脳神経外科 放射線科 麻酔科 病理 臨床検査 救急科 形成外科 リハビリテーション科 総合診療 |
サブスペシャルティ領域 |
循環器内科 消化器内科 血液内科 消化器外科 呼吸器内科 呼吸器外科 糖尿病内科 内分泌代謝 脳神経内科 腎臓内科 膠原病・リウマチ内科 心臓血管外科 小児外科 乳腺外科 放射線診断 放射線治療 アレルギー 感染症 老年科 腫瘍内科 内分泌外科 肝臓内科 消化器内視鏡 内分泌代謝内科 糖尿病内科 |
専攻医は、自身の希望や適性に合わせて研修プログラムを選択し、専門医としての知識と技術を習得していきます。
専攻医になるには、まず医学部卒業後に医師国家試験に合格し、初期研修医となります。その後、専門領域の診療について研修を受ける専攻医に登録し、研修プログラムを選択するところから始めます。
専攻医の登録方法は日本専門医機構のホームページより「専攻医登録」にアクセスし、基本情報を入力します。
手続きは以下のとおりです。
なお、2024年4月研修開始専攻医の専攻医応募は受付が終了しています。次年度の募集期間は2025年4月なので、毎年4月に行われるようです。
専攻医を登録した後、希望する施設を見学して1次募集の応募先を検討します。応募締め切りがあるので、ゆとりを持って行動しましょう。
応募は日本専門医機構のサイト内にある「JMSB Online System+」にログインして行います。初期臨床研修のようなマッチングが行われないため、自分で考えて応募しなくてはなりません。その後、プログラム統括責任者から案内があるので、面接へと進みます。
合格した場合は採用通知が届きます。プログラム統括責任者の指示に従い、翌年の研修準備を行います。不採用になった場合でも、2次募集に応募が可能です。 なお、1次募集に間に合わなかった方や応募していない方でも2次募集に応募できます。
専攻医の年収は一般的に研修医よりも高く、アルバイト(副業)の機会も多いのが特徴です。ここでは専攻医の平均年収を紹介します。
令和4年の賃金構造基本統計調査によると、経験年数1〜4年の専攻医の給与は約48万円です。年収に換算すると約576万円でした。専攻医は、より専門的な知識とスキルを習得する期間であり、一般労働者よりも高い水準の給与を得られるのが特徴です
専攻医と研修医の平均年収に関して下記のコラムで解説しているので参考にしてください。
>>研修医と専攻医の平均年収は?医師の卵から1000万円を目指す方法を解説
専攻医の平均年収は一般的に医師の年収よりも低いため、多くの専攻医がアルバイトなどの副業を検討しています。
ただし公的機関などの一部の医療機関では、副業が制限されている場合があるので必ず確認しましょう。
専攻医がアルバイトをすることで収入が増え、経済的な余裕が生まれます。また、アルバイトを通して、自身の専門分野以外の知識やスキルを得られ、視野が広がりキャリアアップにつながります。
自身のニーズに合ったアルバイトを見つけることで、様々な面で有意義な経験を積めるでしょう。
ただし不慣れな分野でのアルバイトは、専門性の低下や事故のリスクが高まる可能性があるため、スポットから始めるなど、慎重に検討しなくてはなりません。
メディカルキャリアナビでは、専攻医のアルバイト選択においてしっかりとヒアリングし、アドバイスを行っています。専攻医の業務に支障をきたさないよう、就業規定の確認や業務内容を吟味しています。
収入面でのメリットだけでなく、労働環境や指導体制など、専攻医のキャリアアップにつながるアルバイトをご紹介させていただくことで、ミスマッチの防止に役立つはずです。 メディカルキャリアナビは専攻医の立場に立ち、徹底したサポートをしているので、ぜひ一度ご相談ください。
>>未経験OKの医師向けAGAバイトとは?仕事内容と人気の理由を紹介
>>美容皮膚科のアルバイトは何をする?仕事内容や収入、働く注意点を解説
>>【医師向け】脱毛バイトがいま狙い目?未経験でもできる人気のアルバイトを紹介
専攻医を選ぶ際に注意したい項目をまとめました。専攻医を開始する前に情報収集することも大切です。
専攻医になるかどうかは医師の任意です。専攻医プログラムへの参加は必須ではありませんが、専攻医プログラムに参加しない場合、専門医の資格取得が困難になるため、ほとんどの医師が専攻医プログラムに応募しています。 ただし、専門医以外の道を選択することも可能で、例えば総合診療医や地域医療に従事するなど、医師には様々なキャリアパスが用意されています。
専攻医の研修は、中断することが可能です。出産や疾病などの理由により、6ヶ月以内の研修中断であれば、通常どおりの研修期間となり資格を取得できます。
なお、中断する期間が90日以内であれば、所定の期間で研修を修了できます。ただし、90日を超えた場合は、研修プログラム責任者の判断に基づき臨床研修中の中断は延長が必要です。
また、研修中断の際は、指導医のコメントや研修実績の管理などの手続きをしなくてはなりません。専攻医本人の事情に応じて、柔軟な対応がなされる一方で、研修の質を担保するための一定の条件も設けられています。
画像引用:厚生労働省
専攻医に関わるシーリング制度は、特定の地域や診療科への医師偏在を防ぐために、専攻医の採用数に上限を設けることで、地域医療の確保を目指す制度です。
2018年にスタートした新専門医制度を皮切りに、すべての都道府県・診療科においてシーリング数が設定されています。
シーリング数は、各都道府県の地域医療対策協議会で検討され、最終的に決定されます。2023年度の専攻医募集では、すべてのシーリング対象の都道府県・診療科において、シーリング数内で採用されました。 今後も地域の医療需要や医師確保状況を踏まえ、シーリング数の見直しが行われる予定です。そのため、専攻医にとっては研修先の選択肢が限定される可能性はありますが、全国的な医師確保の観点から新たな取り組みだと言えるでしょう。
専攻医の研修期間はおおむね3〜5年で、各領域によって異なります。専攻医は1つの研修プログラムにのみ応募でき、研修先の選択にあたっては自身のキャリアプランや労働環境、指導医の有無などを確認することが重要です。専攻医を経て専門医の資格を取得することで、より高度な医療を提供できるようになります。
しかしその期間は医師より年収が低くなるため、副業を探す先生も多いようです。
メディカルキャリアナビは、医療機関の経営・事務・人事・総務のコンサルティングを行う専門企業です。
メディカルコンサルティングでは、医師の転職や求人に関する豊富な情報を有しており、専攻医を目指す方々に対して、非常勤や常勤の求人情報を多数提供しています。
専攻医の皆さまは、研修期間中の収入面での不安を抱えることがありますが、当社では適切な働き先を見つけるためのサポートを行っています。 気になる方は無料相談やお気軽にお問い合わせください。
\完全無料サポート/
今すぐキャリア相談
無料でご相談・
コンサルティングいたします。
まずはメールでご連絡ください
正式に求人へエントリーするまで、
医療機関へ個人情報を提供することはございません。