風邪や発熱などの身近な症状から、アレルギーやがんなど幅広い疾患を取り扱う内科医になるには?
内科医をめざしている医師の方や、内科への転科を考えている医師の方に向けて、内科医になる方法や仕事内容、内科の勤務医と開業医の違いなどについて解説します。
医師免許を取得するには、6年制の医科大学や大学医学部などを卒業し、医師国家試験に合格する必要があります。
その後、研修医の指導をおこなう病院や、診療所・保健所などで最低2年間の初期臨床研修を積み(初期研修)、内科の診療科に所属することで、内科医として働くことが可能です。
内科では、内臓や血液、神経など基本的に身体のほとんどが診療の対象となります。
このことから特定の病気を深く診るために、以下のように診療科目が細分化されているのも一つの特徴です。
内科医の主な仕事は、問診や視診、触診、検査結果などを踏まえて、内臓や血液、神経などの病気について診断し、薬物治療を中心とした治療を行うことです。
治療方針が決まったら治療法や効果、リスクなどを説明し、患者さんやその家族の同意を得た後、経過を見ながら治療を進めていきます。
また、生活習慣病や慢性疾患がある患者に対して、食事や運動などの生活指導を行なったり、病気の予防や健康相談に応じたりするのも内科医の仕事です。
>>内科医を徹底解説!業務内容や平均年収、やりがい、向いている人など
内科医といっても、勤務先や働き方によってその仕事内容は様々です。総合病院などのように大規模な医療施設に勤める常勤の勤務医と、内科クリニックを自ら経営している開業医、それぞれの1日のスケジュールを比較してみましょう。
総合病院に勤務する常勤の内科医の1日のスケジュール例は以下の通りです。
8:00~ 外来準備
8:30~ 院内ミーティング
9:00~ 外来受付開始
13:00 外来診察終了
13:00~ 休憩
14:00~ 入院患者の診察開始
17:00 入院患者の診察終了
19:00~ カンファレンス、カルテの整理や報告書の作成
20:30 業務終了
総合病院のように規模の大きい医療施設に勤務している場合、消化器内科、呼吸器内科などに分かれて専門的な治療を行うケースがほとんどです。
同じ科にも勤務医や看護師、医療事務など多くの職員がいるほか、複数の診療科にまたがる診療となる場合は他科の医師とも連携をとる必要があるため、チームワークが欠かせません。
医療機関やポジションによって、入院患者のみ(外来のみ)を担当するケース、当番制でどちらも担当するケースなどその方針は様々です。
内科クリニックを経営している開業医の1日のスケジュール例は以下のとおりです。
8:00~ 準備
9:00~ 午前の外来受付開始
13:00 午前の外来受付終了
13:30~ 休憩
15:00~ 午後の外来受付開始
18:00~ 午後の外来診察終了
18:30~ 書類作成など
19:00 業務終了
内科クリニックの開業医は、外来患者の診察が主な仕事内容となります。
開業医の場合は専門科目に分かれずに、一般内科として幅広い診察を行うことも多いでしょう。自院での対応が難しい場合は、より綿密な検査や診断・治療ができる医療機関につなぐことも大切な役割です。
入院設備がある場合は入院患者の処置や対応などもあるため忙しくなりますが、無床で外来のみであれば夜勤もないため、比較的早い時間に帰宅できるといえます。
また、場合によっては地域住民の健康診断や学校医など、地域に密着した医療活動に関わることもあります。
内科医は、クリニックや総合病院だけでなく、介護老人保健施設、訪問診療など様々な施設で活躍できます。
また、常勤医としてだけでなく、副業で非常勤(アルバイト)として働いたり、職場で労働者の健康管理などを行う産業医や施設や企業から委託を受けて働く嘱託医として働くなど、活躍の場や勤務形態の選択肢が広いのも一つの特徴だといえるでしょう。
>>医師の職場選びについて【大学病院・病院・診療所・介護施設等】
内科医に関する主な資格としては、サブスペシャリティ領域専門医や総合内科専門医などが挙げられます。
専門医とは、各診療科・領域のスペシャリストであることを証明する資格です。
従来では各診療科の学会が独自の専門医制度を導入していましたが、2018年4月から新専門医制度が開始。
専門医の質を高め、良質な医療を提供することを目的に、中立的な第三者機関である日本専門医機構によって研修内容や認定基準が統一されました。
新専門医制度では、まず医師は基本的に初期臨床研修終了後、以下の19領域の「基本領域」の専攻医となり、3年間所定の研修を受けて専門医資格を取得します。
その後、基本領域をより細分化した専門分野である以下24領域の「サブスペシャルティ領域」の専門医資格を目指していくことになります。
内科に関連する「サブスペシャリティ領域」としては、以下が挙げられます。
上記のサブスペシャルティ領域の専門医資格を取得するには、内科等これらに関する基本領域の研修を3年間受けて基本領域専門資格を取得した後、さらに3年間専門知識を学んでいく必要があります。
参照:サブスペシャリティ領域について-一般社団法人-日本専門医機構
総合内科専門医とは、内科のそれぞれの専門医が、さらに広い知識と技術を身につけることで取得できる資格です。
内科は細かく専門分野が分かれていますが、その分患者さんが「内科のどの診療科を受診したらいいかわからない」「症状ごとに違う先生を受診しなければならない」という悩みを抱えることも珍しくありません。
こういったニーズに応え、専門分野だけでなくさまざまな症状を広く診断・治療することができる総合内科専門医は、まさに内科のスペシャリストであることを証明する資格だと言えるでしょう。
診療科としての総合内科には、患者さんの状態を総合的に診察・治療し、専門機関の受診が必要な場合には適切な医療機関へと繋げるという役割があります。
内科専門医の資格は、2018年4月から日本専門医機構の管轄に置き換わりましたが、総合内科専門医の資格は今まで通り日本内科学会が認定を継続しています。
総合内科専門医の資格は、内科専門医の資格を取得して3年以上内科研修を受講した後、病歴要約10症例を提出し、筆記試験に合格することで取得できます。
詳しくは、日本内科学会の以下ホームページを参考にしてください。
>> 2024年度 第52回 総合内科専門医 資格認定試験-一般社団法人 日本内科学会
独立行政法人 労働政策研究・研修機構「勤務医の就労実態と意識に関する調査」によると、病院などに勤務する内科医の平均年収は、1,247万4,000円です。
診療科目 | 平均年収(万円) |
内科 | 1247.4 |
外科 | 1374.2 |
整形外科 | 1289.9 |
脳神経外科 | 1480.3 |
小児科 | 1220.5 |
産科・婦人科 | 1466.3 |
呼吸器科・消化器科・循環器外科 | 1267.2 |
精神科 | 1230.2 |
眼科・耳鼻咽喉科・泌尿器科・皮膚科 | 1078.7 |
救急科 | 1215.3 |
麻酔科 | 1335.2 |
放射線科 | 1103.3 |
その他 | 1171.5 |
引用:独立行政法人 労働政策研究・研修機構「勤務医の就労実態と意識に関する調査」p30
他の診療科目別で比較した場合、内科医の年収は上位から7番目となり、これは医師の中でも標準的な給与水準だと言えます。
それに対して、内科の開業医の平均年収は2,424万円となっています。
(参照:令和元年第22回医療経済実態調査 (医療機関等調査) 報告p149-中央社会保険医療協議会)
>>開業医と勤務医の年収の差は?開業のメリット・デメリットとあわせて解説
内科医に向いている人の特徴や求められるスキルとしては、主に以下の3つが挙げられます。
内臓や血液、神経など外から見えない部分について、診察や治療をするのが内科医の仕事です。
不調の原因を特定したり、治療効果を判断したりするには、問診や検査結果から患者さんの状態を読み取る必要があるため、内科医には鋭い観察力・洞察力が求められます。
的確な診断をくだしたり、治療効果を判断したりするためには、患者さんの訴える症状や意見・感想なども重要な情報源の一つです。
老若男女問わず幅広い年代を診療の対象とし、なかには自分の状態をうまく説明できない患者さんもいるため、内科医にはコミュニケーション能力が欠かせません。
また、生活習慣病などの慢性疾患を抱える患者さんが、指導に沿った生活を送ろうと努めるには「このお医者さんと一緒ならがんばれる」と思ってもらえるような人物像であることも重要だといえるでしょう。
身体に何らかの異変を感じたとき、とりあえず内科を受診するという患者さんは多いです。
そういった場合、適切な医療機関に繋ぐというのも内科の大切な役割であるため、内科医は自分の専門分野に限らず、医療全般の幅広い知識を身につけていることが求められます。
風邪や発熱など身近な症状を扱うほか、体調不良の原因が分からないときはとりあえず内科を訪れるという人も多いことから、内科は患者さんとの接点が多い診療科です。
その分病気の治療はもちろん、病気の早期発見やセカンドオピニオンを通じて、患者やその家族に感謝されることも多い診療科と言えるでしょう。
また、慢性疾患の治療や専門分野の治療では、患者さんと長い付き合いになることも多いです。徐々に患者さんが健康を取り戻したり、自分らしい生活を送れるようになったりする姿を見守れることも、内科医の大きなやりがいだと言えるでしょう。
中には初めから内科医を目指すのではなく、今は別の診療科で働いているけど、様々な事情で内科への転科を考えているという医師の方もいらっしゃるでしょう。
ここからは内科医への転科を考えている医師の方に、おすすめの転職方法を紹介します。
内科医は、数ある診療科の中でも勤務先や雇用形態が幅広いことから、まずは非常勤(アルバイト)などから始めてみるというのも1つの手段です。
副業として内科医の経験を積むことで、選択肢を残しながら、自分に適性があるかどうか、仕事内容や労働条件に理想と現実のギャップはないかなどをじっくり見極めることができます。
本格的に内科医とへの転職を検討しているなら、転職のアドバイスや求人紹介をしてもらえる転職エージェントの利用もおすすめです。
メディカルキャリアナビは、医療コンサルティング会社が提供する医師専門の転職エージェントです。
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そのほか、コンサルティングさせていただいている医療機関や関連会社の非公開求人を紹介することも可能ですので、ぜひ転職活動にお役立てください。
内科医は、身体の内側の不調について幅広く診断・治療を行います。
その分専門分野が細かく分かれるほか、他の診療科に比べて勤務先や勤務形態も多様ですので、自分に合った活躍の仕方が選べると言えるでしょう。
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