病理医は、患者と直接接する機会は少ないものの、「疾患の最終診断」を行い、臨床現場に大きく貢献できるのが特徴です。
当直や緊急時の処置対応がほとんどなく、比較的規則正しい勤務サイクルなので、子育てや介護などライフワークバランスを取りやすい診療科としても知られています。
病理医になるためには、病理専門医の資格を取得することから始まり、臨床現場から病理医へ転向する医師もいます。治療の方向性を決定する上で重要な存在で、新しい治療方法の確立にも大きな影響を与えます。本記事では病理医の平均年収や仕事内容、さらに高収入を得る方法について紹介します。
病理医常勤医師の平均年収は1,000万〜1,500万円とされることが多いです。厚生労働省「job tag」によると内科医・外科医を含む医師の平均年収は1428.9万円なので、病理医と比べて同等であることが把握できます。
20代では1,000万円以下とやや低いことが多いですが、50〜60代になると2,000万円以上になることもあります。今後病理医としてのキャリアを積むことで、年齢とともに報酬面での評価が高まる傾向にあるでしょう。
病理診断は非常に専門的な知識と技術を要するため、経験が豊富になるほどその価値が高まるといえます。
なお、アルバイト(非常勤)の場合は平均日給が80,000円とかなり高額です。そのため副業として病理科のアルバイトを行っている方も多いです。
また、その他の診療科との年収差は以下のようになります。
診療科 | 平均年収 | メディカルキャリアナビ 求人情報 |
産科・婦人科 | 約1,467万円 | 1,248万〜3,800万円 |
整形外科 | 約1,289万円 | 1,000万〜3,000万円 |
脳神経外科 | 約1,480万円 | 1,800万~3,000万円 |
精神科・心療内科 | 約1,230万円 | 1,400万〜5,000万円 |
放射線科 | 約1,103万円 | ー |
救急科 | 約1,215万円 | ー |
呼吸器科・消化器科・循環器科 | 約1,267万円 | 1,300~2,000万円 |
泌尿器科 | 約1,078万円 | 1,600万〜5,000万円 |
形成外科 | 約1,500万円 | 1,000万〜3,000万円 |
皮膚科・眼科 | 約1,078万円 | 1,000万〜3,000万円 |
心臓血管外科 | 約1,500万円 | 1,800~3,000万円 |
病理科は当直やオンコールがないため、手術や緊急処置の必要な診療科と比較して給料がやや高めになります。
もちろん地域による年収の違いも考慮する必要があります。
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病理医は、医療機関や研究機関、大学などで働くことが多く、その働き方は多岐にわたります。病理医は主に病理診断を行い、臨床医と連携して患者の診断や治療方針の決定に貢献するのが特徴です。
また、病理医は研究活動にも従事し、疾患のメカニズムの解明や新しい治療法の開発に関わることもあります。ここでは病理医の仕事内容を詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてください。
病理解剖は剖検(ぼうけん)とも呼ばれ、亡くなった患者の遺体を解剖することにより死因の明確化、病変の性質や範囲、治療の効果や有効性を検証する仕事です。
病理解剖によって得られる情報は、遺族に対する説明や将来の医療の向上に役立ちます。また、病気の真実を解明し、それを基にした医療の質の向上にもつながるでしょう。
通常の解剖学は人体の構造を学ぶ学問ですが、病理解剖学は亡くなった人の治療の影響や病態解析を行う学問です。さらに、法医学解剖は不審な状況下で亡くなった人の死因を特定するために行われます。
遺族にとってはつらいことですが、医療業界を発展させるために重要な情報を提供できるのです。
参考:日本病理学会
組織診断は、病気の診断や治療方針を決定するのに不可欠です。生検は病変部から小さな組織サンプルを採取し、顕微鏡で検査することにより、がんなどの疾患を診断する一般的な病理検査です。
手術材料による診断は、手術で取り除かれた組織や器官を用いて、病気の診断や治療効果の評価を行います。この検査により、細胞の異常や病変の性質が明らかになります。
特に進行性が早いがんなどの重篤な疾患においては、早期発見と正確な診断が患者の治療に大きく影響します。
細胞診断は、体の粘膜や粘液、痰、甲状腺、乳腺などの部位から採取した検体を顕微鏡で観察し、状態を判断する検査です。この検査は、がんなどの疾患の早期発見や診断、治療効果の評価に役立ちます。
これらの細胞を特殊な液で染色し、正常なサンプルと比較して検査します。細胞診断は、細胞検査士および日本臨床細胞学会認定の専門技師と共同で行うのが基本です。
病理医は、患者から採取した組織や細胞を分析し、疾患の確定診断を行う医師です。病理医になることで、多くのやりがいを見出します。ここではどのような魅力があるのかを詳しく紹介しているので、参考にしてください。
病理医は、正確な診断を通じて患者の治療計画の策定に貢献します。そのため、患者の回復に直接的な影響を与えることが可能です。
組織や細胞の検査を経て迅速な診断結果を提供することは、患者の早期治療に不可欠です。病理医は早期治療に中心的な役割を果たします。
病理医の仕事は、患者と接する機会は少ないかもしれませんが、その診断が患者の治療や回復に直結するため大きなやりがいを感じられるでしょう。
病理医は疾患の診断だけでなく、医学研究の最前線で重要な診療科です。病理学は、疾患のデータ分析やメカニズムを理解し、新しい治療法や診断法の開発に貢献できる分野です。
病理医は、他の医療従事者や研究者と連携し、総合的な医療提供するため、新しい病気の発見や治療法の開発につながります。
病理医は、疾患の診断データから治療法の開発、さらには予防法の研究に至るまで、医学研究のあらゆる段階で役立つ業務です。
病理医の専門的なトレーニングでは、腫瘍、変性、炎症など、すべての臓器のさまざまな病変に関連する幅広い知識を習得します。さらに日常的に開催されるカンファレンスに参加することで、新しい知識を習得することが可能です。
また、各分野の専門家による月例の病理診断講義を通じて、常に知識をアップデートできる機会も得られます。
日本では、小児科医、産婦人科医、麻酔医の不足が問題となっていますが、病理医の数は男性女性ともに医師よりもさらに少ないのが現状です。
全国に存在する病理専門医は2200名程度で、全体の人口に対する病理専門医の割合は0.0016%に過ぎません。
病理医の育成と待遇改善に向けた取り組みが急務であることが明らかです。そのため、今後も病理医の育成と待遇改善に向けた取り組みが進められることが期待されます。
病理医になるためには、医学部での6年間の学習、医師国家試験の合格、2年間の初期臨床研修、そして病理医としての専門研修を経て、専門医資格を取得する必要があります。
ここでは病理医になるまでの流れを紹介します。
医学部では、最初の数年間で基礎医学を学び、その後臨床医学に移行するスケジュールです。学生は患者の状態を理解し、診断に結びつける方法を学びます。
医学部はリベラルアーツ教育から始まり、より高度な科目のカリキュラムを6年間にわたって進めていきます。医学部卒業後は医師国家試験に合格し、医師免許を取得する流れです。
医師としてのキャリアをスタートさせるためには、医師国家試験に合格した後、2年間の初期臨床研修を行う必要があります。
この期間は、医師としての基本的なスキルと知識を身につけるための重要なステップです。
初期臨床研修では、医師として基本的な臨床能力を身につけることが目的です。
研修を通じて、患者の診療に必要な知識や技術を学びます。
病理医になるためには、基本的な医学知識と技術を身につけた後、病理学の専門研修を受ける必要があります。研修医は病理診断のスキルを高め、さまざまな病気の原因や発展過程を理解しなくてはなりません。
日本で医師免許を取得し、臨床研修を終えた後、認定施設で3〜4年の病理研修を受け、専門医試験に合格することで晴れて病理専門医となります。
病理専門医としてのキャリアを維持し、発展させるためには常に最新の医学知識や技術の習得が欠かせません。継続的な教育や研修に積極的に参加し、専門性を高めることが大切です。
病理医としてのキャリアを発展させるには、診断病理医を目指す道と研究に専念する道の2つの主要なルートがあります。それぞれの道には、特定のスキルセットの習得や専門知識が求められます。
診断病理医になるためには、大学の病理学講座や病院の病理診断科での研鑽が必要です。施設によって特色が異なり、病理の分野は多岐にわたります。
5年の経験を積んだ後、病理専門医試験を受験できます。その後、個々の希望に合わせて選択し、さらに深く学ぶことも可能です。
研究病理医としてのキャリアアップの目標は、診断医と研究医の両方にステップアップすることです。専門医としての資格取得に加え、博士号の取得も目指せます。
病理医としてのキャリアは多様であり、臨床実践から離れても臨床経験を活かしたキャリアを築けます。
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病理医の平均年収は1,000万〜1,500万円で、最初のうちは1,000万円未満になることもあります。病理医としての年収をアップさせるには、副業や専門分野への転職が有効な手段です。
常勤先で働きながら副業でアルバイトをすることで、年収を増やすことが可能です。さまざまな医療現場での経験を通じて、専門性が高まるメリットがあります。
特に1回のみのスポットアルバイトは、急な人員不足が理由であるため、給与設定が常勤医よりも高い傾向にあります。
しかし、好条件の案件がない可能性や、自分の都合に合う日程に求人募集がないケースが考えられるため、注意が必要です。
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専門知識を深めることで、その分野のエキスパートとして活躍できるようになります。これは、特に医療分野において重要なポイントです。
専門性の高い職業に転職することで、高い需要と収入を期待できるだけでなく、経済的な不況の中でも安定したキャリアを築くことが可能になります。
病理医として新しい職場に転職する際は、高度に専門化された分野であるため、慎重なマッチングが必要です。一般的な臨床部門とは異なり、すべての病院が適切な職務を提供しているわけではありません。
そのため、転職する場合はプロフェッショナルにお任せするのがおすすめです。
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病理医は、病気の確定診断を行う医師であり、臨床現場に大きな影響を与える重要な役割を持っています。一般的な医師との年収と大差ありませんが、将来的にキャリアアップすることも可能です。病理医としてのキャリアをさらに発展させ、高収入を目指すには、専門性を高めることが重要です。
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