医師を辞めたいと思っても、退職後のキャリアや転職活動、退職時のトラブルなどが不安でタイミングに悩んでいませんか?
今回は、医師や医局を辞めるベストなタイミングや退職トラブルを防ぐ方法、医師の転職先について解説します。
医師を辞めた20代以上の男女1,901名を対象に退職したタイミングを調査したところ、最も多いのは「勤続年数1年以上3年未満」でした。
次に多いのは「勤続年数3年以上5年未満」で、半数以上の方が勤続年数5年未満で退職したという結果が出ています。
厚生労働省による「令和2年臨床研修修了者アンケート調査」において76.9%の方が臨床研修終了後の医局入局を予定しているように、まず医局に所属する医師も多いでしょう。
医局を辞めるタイミングは、「専門医の取得や実務経験は将来的に必要か」を重視して決めることがおすすめです。
医局を辞めるベストなタイミングについて、下記3つに分けて解説します。
専門医の取得前に医局を辞めることに対してためらいを感じる方は多いと思いますが、今後のキャリアに専門医が必要ない場合は思い切って退局することがおすすめです。
医局では学べることも多いですが、毎月の医局費や関連病院などでの時間外労働があるように、お金や時間に縛られることも多いですよね。そのうえ専門医を取得するには数万円の受験料も必要です。
早めに退局することで、上記のような金銭的・時間的・身体的な負担から開放されるというメリットがあります。
「十分な医療スキルを習得できた」「転科や別の業種への転職を決めた」というように、将来的に支障がないことを判断できた場合は、専門医取得前に医局を辞めることがベストなタイミングと言えるでしょう。
ただし、専門医がないことによって最低限の診療ができることを証明できないため、医師として希望する働き方ができないこともあります。後悔しないために、しっかりと見極めたうえで判断してください。
教育体制の整っている医局は専門医を取得しやすい環境のため、医局を辞めた後も医師として働きたい場合は、専門医を取得できる「卒後5年以降」の退局がおすすめです。
専門医の取得は最低限の診療に必要な知識・技術を証明するだけでなく、採用側の判断基準にもなるため、転職を有利にしたり転職後の労働条件に影響を与えたりします。
また、専門医がない場合は他の医師から「専門医の取得を諦めた」とマイナスに捉えられやすいため、専門医を取得しておくことが無難です。
医局に残っていると人事異動に負担を感じることも多いため、医局で実務経験を積む目的のない方は専門医取得後の早い段階で辞めることがベストといえるでしょう。
専門医取得後、有名医師のもとや症例の多い病院で実務経験を積みたい方、管理職に就きたい方、開業を目指している方などは「卒後10年以降」の退局がおすすめです。
医局にいると横のつながりを得られやすいため、多様な手技・症例をバランスよく学べるだけでなく、高度な医療技術や最先の医療を経験することができます。
10年以上医局に所属している医師は重要ポストを任されるケースが多く、管理業務を通じて経営やマネジメントに関する知識を身に付けることもできます。
また、お礼奉公を重視する医局も多いため、円満に辞めたい方はお礼奉公の期間を抜けてから退局する方も多いです。お礼奉公とは、専門医や学位を取得できたお礼として遠方の医局で一定期間以上働くことを指します。
実際に医局を辞めた医師を対象に行われた調査では、「専門医取得後の卒後6年〜10年目に医局を辞めた人が多い」という結果が出ています。
「専門医の取得は自力よりも医局で目指す方が有利・容易」と感じる医師が多いようです。ただ、医局での労働環境や人間関係に疑問を感じている場合や、その後のキャリア形成において医局にいる必要がないと感じた場合は、医局にとどまる必要はないと言えるでしょう。
医師を辞めたいと思ったら、まずは「退職理由」と「キャリアプラン」の2つを明確にすることが大切です。
昨今は医師が不足していることもあり、病院から退職を強く引き留められることが多いです。辞めるまでに時間がかかるケースも多いため、早めに退職の意思を伝えられるようまずは退職理由を考えましょう。
また、退職したい理由を明確にすることで自分のなかでも退職への決意が固まります。曖昧な理由の場合は、「退職が最善の策なのか」「退職せずに現状を改善できる方法はないか」などを考えることもできるため、退職理由を明確にすることは重要です。
退職理由によっては、退職を認めてもらえなかったり円満に辞められなかったりすることもあるため、トラブルなく医師を辞めるには病院側を納得させられる理由を考えておきましょう。
●労働環境 ●人間関係 ●待遇 ●コロナウイルスの流行 ●医療現場のプレッシャー ●自身の健康問題 ●プライベートの少なさ など |
下記のコラムでは、医師を辞めたいと感じる理由や医師を続けるメリットなどを紹介しているので、退職理由を考え直したい方はぜひ参考にしてみてください。
>>医者を辞めたいと感じる理由は?対処法やしないほうがいいケースを紹介
退職を決める前に、今後のキャリアプランを見直しましょう。将来自分がどうなりたいか、どう働きたいかを明確にすることで、本当に医師をやめるべきなのかを冷静に判断しやすくなります。
また、キャリアプランに応じてあらかじめ転職先を決めておくことがおすすめです。退職を申し出る前に転職活動を始めることで、心と時間にゆとりを持って納得のいく転職先を見つけることができます。転職先が決まっていれば退職後への不安も減らせるでしょう。
医師の退職時はスムーズにことが進まなかったり、円満に辞めることができなかったりすることもあります。
医師の退職時に起こり得る下記3つのトラブルについて解説します。
医者は、退職を申し出てすぐにやめられないことが多いです。
先述したように引き留められてしまったり、退職届の受理を保留にされてしまったり、後任の医師が決まるまで辞めさせてもらえなかったりするケースがあります。
辞められるまでの期間は半年から、長い方では2〜3年以上かかる方もいます。
退職の申し出を上司が納得しなかった場合、仕事を増やされたり有給消化を拒否されたりといった嫌がらせをされることもあります。
中には、退職後に嫌がらせをされるケースもあります。
医師を退職した後、開業したり医療関係に勤めたりする方は勤務先との関わりがなくなるとは限りません。地域の紹介先や紹介元として関わったり、学会の場などで会ったりする可能性があるため、退職時の不要なトラブルは避けたいものです。
退職トラブルを防ぐために、退職時に意識すべき下記3つのポイントを紹介します。
また、下記記事では医局を円満に辞める方法について紹介しているのでぜひ参考にしてください。
>>円満に医局を辞める方法とは?医師が退局する最適なタイミングや流れも解説
退職を申し出るときは、話がスムーズに進まない場合や後任への引き継ぎに時間がかかることもあるため、少なくとも3ヶ月〜半年以上の余裕を持って上司に伝えることが大切です。
転職先のスケジュールを事前に立て、計画的に話が進むよう自ら動きましょう。
ネガティブな退職理由は退職トラブルにつながりやすいため、過酷な労働環境や人間関係での悩みが退職理由の場合でも勤務先に伝えないことがおすすめです。
「今後のキャリアのため」「育児や介護に専念するため」「開業するため」といったポジティブな内容を伝えましょう。上司からの納得も得られやすくなります。
退職トラブルを防ぐには引き継ぎを丁寧に行うことも大切です。
必要であればマニュアルを作成すると親切でしょう。
医師を辞めるときは仕事や引き継ぎの状況、転職のタイミングなどに応じて退職時期を見極めることが大切です。
下記の記事では医師が転職するうえでタイミングを見極めることが重要な理由について詳しく解説しています。医師の転職におすすめの時期や転職活動のスケジュールの目安なども紹介しているのでぜひ参考にしてください。
ここでは、医師を辞めるのに適した時期について紹介します。
一般的に、医師を退職するのに最適な時期は3月です。3月は年度末であり翌月の4月からはスタッフが増えるため、退職による勤務先へのダメージを抑えられるでしょう。
また、転職先には新年度の4月から入職でき、病院側も新しいスタッフを受け入れる体制を整えている時期なので新しい職場にも馴染みやすいでしょう。
医師の転職におすすめの時期は、4月のほか10月、1月が挙げられます。
医師に限りませんが、繁忙期に退職するのは避けることをおすすめします。
また、シルバーウィークや年末年始などの連休と被る9月と12月に転職する医師は少ない傾向にあるため、退職した翌月から働きたい方は8月、11月の退職を避けるといいでしょう。
医師が退職するまでの一般的な流れを紹介します。
1.転職先を決める 2.退職の意思を伝える 3.退職届の提出 4.引き継ぎや挨拶まわりを済ませる |
まずは転職活動を始めて、転職先を決めましょう。
転職活動に不安がある場合や実際にやってみてうまくいかない場合は、転職エージェントに相談することがおすすめです。プロの目線から転職活動をサポートしてくれます。
ただし、勤務先には転職先に関する情報を伏せておくことが無難です。
次に退職の意思を上司に伝えます。
先述していますが、後任の医師の採用や引き継ぎ、体制の見直しなどを行う期間が必要なため、実際に退職する3ヶ月〜半年前までには伝えるようにしましょう。
退職が受け入れられたら病院側と話し合って退職日を決め、退職届を作成・提出します。病院によっては退職届が必要ないところもあります。
退職届の作成や提出先において不明な点があれば、事務部門や上司に確認しながら進めましょう。
退職前に引き継ぎや挨拶回りを済ませます。
引き継ぎは後任の医師とスケジュールを合わせ、時間をかけて丁寧に対応します。退職日までに後任が決まらなかった場合は、受け持ちの患者さんに別の病院を紹介する必要もでてくるため余裕も持って進めましょう。
挨拶回りは、当日に挨拶できない可能性も考えて退職日前から前もって進めておくことがおすすめです。
医師を退職後、キャリアアップのために転科する方や独立して開業する方、医師以外の職業への転職を考えている方もいると思います。
医師に人気の転科先には「美容外科」や「美容皮膚科」、「眼科」、「精神科」などが挙げられます。
また、医師免許を活かせる転職先として代表的なのは「医療系サービス企業勤務」や「保健所などの公衆衛生医師」、「保険会社の社医」などです。
近年の医師の転職では美容医療の人気がとくに高い傾向にあります。
下記記事では、美容医療への転職を考える医師に向けて、保険診療と美容医療の違いや美容医療で成功するためのポイントを紹介しているのでぜひ参考にしてください。
>>美容外科へ転科するメリットは?美容皮膚科との違いや失敗しないコツを解説
>>美容外科に転職するメリット・デメリットとは?未経験でも美容外科医になれる?
医師が辞めるタイミングとして多い傾向にあるのは勤続1〜3年未満、医局に勤める医師の場合は卒後6〜10年です。ただし、ベストなタイミングは目指すキャリアや理想の働き方などによって異なります。
医師を辞めたい理由や今後のキャリアプランを明確にし、後悔しない退職のタイミングと転職先を見つけましょう。
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