医師といえば真っ先に、手術する外科医の姿を思い浮かべる人も多いでしょう。
そこでこの記事では、医療ドラマなどで目にする機会の多い外科医について、そもそも外科医とは?というところから、その仕事内容や専門分野の種類を解説します。
さらに年収や内科医との違いなどの気になる部分についても詳しく紹介していきますので、ぜひ参考にしてください。
外科医とは、手術を必要とする病気や外傷の診療を中心に行う医者のことを指します。
外科医のなかでも脳神経外科や消化器外科などそれぞれの専門分野にわかれ、外傷や腫瘍、先天性疾患や感染などの治療として手術を行います。
外科医の主な仕事は、診察や検査結果から傷病名を診断し、手術を用いて治療することです。
手術とは、メスなどの外科的器具を用いて、患部・腫瘍の切除や縫合などの外科的な処置を行うことを指します。
外科医が診察する身体の部位や疾患は、それぞれの専門分野で大きく異なります。
主な外科の診療科目は以下のとおりです。
腹部(消化器)の外科を中心に、幅広い外科系の疾患全般領域を扱う診療科です。
外傷や火傷、捻挫や打撲などのなかでも家庭では対応しきれない怪我などについても対応しているため、これらの症状で総合病院にかかる場合は、まずここで診察を受けることになります。
0歳から16歳未満の小児の手術を専門に行う診療科です。
つまり新生児期・乳児期・幼児期・学童期・思春期の疾患を扱うことになりますが、その多くは先天性疾患となっています。
主に胸部の内臓部分を扱う診療科です。
胸部外科のなかでもさらに、心臓や血管(動脈や静脈)の疾患を扱う心臓血管外科と、肺や気管の疾患を扱う呼吸器外科、胃がん・食道がんを中心に食道の疾患を扱う食道外科の3つにわかれます。
脳・脊髄・神経などの疾患や外傷、障害の診察や手術を行う診療科です。
そのなかでも特に多いのは、くも膜下出血や脳出血、脳梗塞などの脳卒中や脳腫瘍など脳疾患のある患者さんとなっています。
胃、食道、小腸、大腸、直腸などさまざまな消化管の疾患を扱う診療科です。
良性疾患である胆石症、鼠径ヘルニアや悪性疾患である食道がん、胃がん、大腸がんなどの消化器がんの診療を行います。
口腔や顎、顔面のさまざまな疾患を扱う診療科です。
歯や歯茎、舌、粘膜、顎、唇、唾液腺のほか、顎の骨や顎の関節、顔周りの口腔などに生じた疾患を外科的な処置で治療します。
尿路や男性器の疾患を扱う診療科です。
具体的には、腎臓・尿管・膀胱・尿道や、前立腺・精巣などに生じる疾患の外科的診療を行います。
肛門や大腸に関する疾患を扱う診療科です。
主に代表的な肛門疾患であるいぼ痔、切れ痔などの痔や便秘、下痢、便失禁などの排便機能の評価・治療を行います。
乳腺や乳頭乳輪など乳房の疾患を扱う診療科です。
主に超音波検査やマンモグラフィなどを用いた診断や、薬物療法・手術などの乳がん治療を行います。
甲状腺、副甲状腺および副腎の疾患を扱う診療科です。
主にこれらの臓器にできる腫瘍(甲状腺がんなど)や、ホルモンの過剰分泌を引き起こすバセドウ病などの診断・治療を行います。
骨や軟骨、筋や靭帯、神経など運動器官を構成する組織の疾患や外傷を扱う診療科です。
骨折や捻挫、脱臼やむち打ちなどこれらに関わる先天的・後天的な形状・機能の異常を発見し、悪化予防や矯正を行います。
一般的に外科とは、腹部や胸部の疾患を扱う科を指しますので、「外科」という言葉がついているものの根本的には異なる診療科といえます。
病気や怪我などによって身体に生じた異常や変形、欠損などの見た目の改善を目的とした治療を行う診療科です。
運動器の機能的改善を重視した治療を行う整形外科に対して、火傷や生まれつきのあざなど、頭や顔面を含めた身体表面の形態的改善を重視した治療を行うという違いがあります。
形成外科の一分野であり、いわゆる美容整形の手術を行う診療科です。
二重まぶたなどの眼科の手術や鼻を高くする隆鼻手術、顔面や首のたるみをとるフェイスリフトなど容姿を整え、若々しい姿を保つための手術を行います。
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外科医になるには、まず6年制大学の医学部医学科を卒業するなどして、医師国家試験の受験資格を取得。
医師国家試験に合格して、医師免許を取得する必要があります。
さらに大学病院や大病院などの臨床研修病院で、研修医として最低2年間の臨床研修を修了。
その後外科の診療科に所属することで、外科医として働くことが可能です。
外科医と内科医は、主に以下の点において違いがあります。
ここからは、その詳細について各項目に分けて紹介していきます。
外科医と内科医の仕事内容に関する大きな違いは、手術をするかしないかです。
内科医の仕事内容は診断および薬物療法を中心とした治療がメイン。
それに対して外科医の仕事内容は、診断結果に基づく外科的な治療、つまり手術がメインとなります。
外科医と内科医では、当直(宿直)やオンコールの数にも差があります。
労働政策研究・研修機構の「勤務医の就労実態と意識に関する調査」では、調査対象となった3,467人のうち、1ヶ月間のうちに当直があると答えた内科医は、66.6%。
ないと答えたのは33.3%で、回数としてはそのうち1〜2回が33.3%、3〜4回が23.6%、5回以上が9.7%でした。
それに対して外科医の回答は、1ヶ月間のうちに当直があると答えた人が73.9%。
ないと答えたのは26.3%で、回数としては1〜2回が39.5%、3〜4回が24.0%、5回以上が10.4%でした。
オンコールに関しても同資料のデータによると、オンコールがない働き方をしている内科医が15%なのに対し、外科医でオンコールがない働き方をしているのは3.5%と、内科医の約1/3の割合です。
このことから一般的に、外科は内科系の診療科に比べて救急外来の診察や、入院患者の不測の事態に備える必要性が高いということがわかります。
引用:勤務医の就労実態と意識に関する調査 p37,45 -独立行政法人 労働政策研究・研修機構
続いて、勤務医の診療科ごとの平均年収は以下のとおりです。
診療科目 | 平均年収 |
内科 | 1247万4,000円 |
外科 | 1374万2,000円 |
整形外科 | 1289万9,000円 |
脳神経外科 | 1480万3,000円 |
小児科 | 1220万5,000円 |
産科・婦人科 | 1466万3,000円 |
呼吸器科・消化器科・循環器科 | 1267万2,000円 |
精神科 | 1230万2,000円 |
眼科・耳鼻咽喉科・泌尿器科・皮膚科 | 1078万7,000円 |
救急科 | 1215万3,000円 |
麻酔科 | 1335万2,000円 |
放射線科 | 1103万3,000円 |
その他 | 1171万5,000円 |
引用:勤務医の就労実態と意識に関する調査 p30 -独立行政法人 労働政策研究・研修機構
表を見ると、外科医の方が内科医に比べて100万円ほど平均年収が高くなっています。
また、全体で見ると、より高度な診療技術が必要となる脳神経外科が、主な診療科のなかで最も年収の高い専門科となっていることがわかります。
>>内科医を徹底解説!業務内容や平均年収、やりがい、向いている人など
外科医の平均年収は、13で分けた主な診療科目のうち脳神経外科、産科・婦人科に次いで上位3位。
このことから、医者のなかでも高収入を得られるというメリットがあります。
また、外科的治療は専門的かつ高度な技術が求められるものの、腫瘍があればそれを摘出する、骨折したならそれを治すなど、やることはシンプルです。
治療内容や経過、結果などが患者さんとその家族にとってもわかりやすいことから、感謝されやすいというのも一つのメリットだといえるでしょう。
高収入が得られるぶん、外科は他の診療科目と比べて、オンコールや当直など診療時間外に働かなければならないことが多いです。
労働時間が長いうえにミスの許されない仕事であるため、ハードワークである、ワークライフバランスを保つのが難しいなどは外科医として働くデメリットだといえるでしょう。
引用:勤務医の就労実態と意識に関する調査 p30 -独立行政法人 労働政策研究・研修機構
一口に外科医といっても、診療科目はそのなかでさらに細かくわかれます。
また、医者として働くには外科以外にも内科をはじめさまざまな選択肢があることから、診療科選びに迷っている方も多いでしょう。
診療科選びのポイントとしては、自身の興味やライフワークバランス、収入などの待遇や各診療科の特徴、将来性などが挙げられます。
「小さい頃に自分や家族がお世話になった」「漫画やドラマを見て憧れを持つようになった」「家庭と仕事を両立したい」など、目指す診療科もその理由も人によってさまざまです。
自分が医者としてどんな人を助けたいのか、どんな道を歩みたいのかなど、各診療科と自身のキャリア形成にしっかり向き合ったうえで結論を出しましょう。
外科医とは、手術を必要とする病気や外傷の診療を中心に行う医師のことです。
主な診療科目としては13種類にわかれ、診察する身体の部位や疾患はそれぞれの専門分野で異なります。
診断および薬物療法が仕事の中心である内科医に比べて、外科医は外科的な治療が仕事のメインです。
このため当直やオンコールなど診療時間外での労働も、内科医と比べると多い傾向がありますが、そのぶん高収入が得られる、治療の経過や結果がわかりやすいので患者さんに感謝されやすいなどのメリットがあります。
このように医師として働くメリット・デメリットは各診療科によってそれぞれです。
外科医・内科医に関わらず、自身の興味やライフワークバランス、収入などの待遇や各診療科の特徴についてじっくり考えた上で、自分が進みたい診療科を選択しましょう。
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